近年、「豊かな自然環境」が社会的な共有財産として認識される様になり、様々な分野で緑の保全や生物空間の創出が行われています。
河川事業においても例外ではなく、河川の自然生態系の保全や河川空間の多様な利用への要請が高まり、より自然な多自然川づくりが求められています。
バイオ・オーガニック・リバー工法は、ダム湖湛水面や河川・排水路等の水辺周辺の裸地面に植生を復元し、併せて、斜面の安定を図る技術です。
耐久性のある連続した耐水性特殊袋状マット(ソウケンリバーフォーム)を斜面に布設し、マット内部に種子及び植物の永続性を考慮した特殊有機質資材(ソウケンオーガⅠ・Ⅱ)、特殊水生基盤材(オーガニックR用土)を水と混合し、客土注入機械にてソウケンリバーフォームに注入します。
ソウケンリバーフォームは、河川・排水路、ダム湖湛水面等の冠水箇所用に開発されたもので、従来技術にはない、波浪による基盤材の吸出しを抑制するための緩衝材が備わっています。
これにより、安定した耐水性生育基盤層の造成が可能となり、長期に渡り、植生の維持が図られます。
水生基盤材注入状況 |
施工完了 | |
冠水状況 |
施工10ヶ月後 |
勾配は、1:0.3迄対応可能です(降雨量の少ない地域や西向面の場合には要検討)。 既設モルタル吹付面が不安定(裏面の空洞、モルタルはく離が著しい等)な場合には、別途対策が必要です。
河川・排水路等では、落差工や、乱流を発生させる構造付近での施工は留意する必要があります。適用するのり面は、土質毎の安定勾配が適用条件であり、土圧変異やすべりが生じる恐れのあるのり面には適用できません。この場合、吹付枠工やアンカー工等の併用を検討します。 本工法の選定に際しては、長期的な安定確保を主目的として、対象のり面の土質、土壌硬度、土壌成分、湧水・集水の状況、気象条件、のり面方位、のり面勾配、施工時期、周辺環境等を考慮するほか、施工費や施工条件及び環境保全に配慮する必要があります。